今回は、直接「過払い金返還請求」には関係なくても、知っていた方が良さそうな法律などについて、以下ご紹介します。
1 内容証明郵便
闇金業者を相手に「過払い金返還請求」を起こす時など、「取引履歴開示請求」を送っても「受け取っていません」と逃げられる可能性がありますので、念のため「どんな内容の文書を、いつ、誰が、誰に」送付したのかを公に証明してもらえる内容証明郵便を使う方法もあります。
ただ、少々複雑な規定があるのが玉にきずで、
- 字数制限:
1行20字以内 1枚26行以内
1行13字以内 1枚40行以内
1行26字以内 1枚20行以内 - 用紙の種類及び用紙のサイズは自由
- ワープロは使用可だが図面は駄目
…など、いろいろな決まりがあります。
その決まりにのっとった、
- 手紙・・・3通
- 封筒・・・2枚
を郵便局に持参し依頼しますと、1通は相手先へ、1通は控え、1通は郵便局保存となるので、「どんな内容の文書を、いつ、誰が、誰に」送付したのかを公に証明してもらえることになり、出るところへ出ても大丈夫な法的証拠力もあります。また、普通郵便より迫力があり、ある程度の威圧効果があります。
2 簡易裁判所より地方裁判所で訴訟する方が無難
基本的に、140万円以下の訴訟は簡易裁判所、140万円以上は地方裁判所に起こす事になっていますが、出来れば地方裁判所で訴訟する方が無難です。
理由は、簡易裁判所では、裁判所が認めれば誰でも代理人を務める事が認められているため。
そのため、簡易裁判所で裁判をすると、業者側が従業員を社長の代理として出廷させて、審理を長引かせようとする事があるんです。それで、結果的に審理が長引き、最悪こちら側に不利な条件で和解…なんていうことになってしまう可能性があります。
ところが、地方裁判所では訴訟当事者である社長本人が出廷するか、代理人は弁護士に限られますから、(業者は敗訴する裁判に高い弁護士料は出せないので)少しくらい業者側に不利な和解でも応じざるを得ない場合が多く、早くケリが付くことが多いそうです。
これは聞いた話ですが、「武富士」は「過払い金返還訴訟」を起こされると、代理人として社員を何度でも出廷させて裁判を引き延ばし、倒産するまでの日数を稼いでいたんだそうです。
3 過払い金返還請求の時効について
時効には消滅時効と取得時効があります。
消滅時効とは、
たとえ正当な権利を持っていてもある程度以上その権利を行使せず権利維持の努力もしない者を保護する必要はない。
債権は10年、それ以外の財産権(ただし所有権を除く)は20年の時効期間が経過すると消滅する。
と規定されたものです。(但し貸金業者の金銭貸借の時効は5年しかありません。)
従って、債権である「過払い金返還請求権」は時効10年です。いつから10年間かといいますと、取引終了時です。
また、蛇足ですが取得時効について軽くお話します。取得時効とは変な法律でして、民法162条に、
20年間、所有の意志をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。10年間所有の意志をもって、平穏に、かつ公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時期に善意であり、かつ過失がなかった時はその所有権を取得する。
とあります。
財産のない人は良いですが、財産があり余っている人はご注意下さい。(私の知り合いで、山に赤の他人に住みついて困っていた人がいました。)